今はむかしならざれど、よその国から男、旅立ちて、江戸の京三田の里に、学びにかよひて、ものを食ひにいにけり。その里に、数知らずの料亭ありければ、かのよそ男まどひにけり。腹のいと空きたるに、里知れる人もなかりければ、近き所に入らむとて、松屋にいたりぬ。いかが思ひけむ、「我なむビビン丼」とてたのめば、味まさりてなむありける。あまりに耐へかねて、男かくなむ。
松屋だぜああビビン丼松屋だぜ
男、人のえわからざる歌をよむこそ、おもしろきことともや思ひけむ。
松島やああ松島や松島や
といふ歌の心ばへなり。今人は、かくいちはやき雅やかなるものをだいなしにぞしける。
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