男、学びの果てを迎ひて、脳はつるつる磨きたれど、体はたるうなむありける。ひょろひょろなる筋肉を鍛へむとて、体育館に行けば、移動せず走りて、ものを持ち上げ、運ばずまた下ろして、考へばかひなかりて、愚かなる行為なれど、かくしてよう汗ながしけり。
されば、男、つかれたる体を洗はむとて風呂場に向かふに、思ほえず、熊ぞ出でぬる。男、驚きて身をこはばれど、ようよう見れば、人なり。いかなる人ぞかやうにけものの毛、胸も背さへも生ゆらむと、あやしうこそ思ひて、男かくなむ。
胸毛なる富士の樹海ぞ茂りつる迷ひ込めばや死を望むべき
男、かくよめど、食はるるを恐れてやらずありけり。
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