浮けよ

今はむかしならざれど、男、よその国から来けり。春になれば、男、西にいなむとて電車に乗りけり。銭や少なかりけめど、時こそあれば、鈍行にてゆきけり。かはるかはる景色をいとつれづれにながめつつ、男、目ざすは何やとて、かくなむ。

すこしずつ我が人生をむだづかう

名古屋にいたれば、よろづの国集りきて祭などしたりけるを聞きて、男、見ずはあらじとてゆきけり。人の数ぞえ知らざりければ、男、待ちてつかれて、待ちて怒りて、待てど、マンモスを見ゆべくもあらず。うち泣きて、かへらむとてまた電車に乗りぬれば、さる電車はたいづこのものよりもまさりたりけり。快く乗りながら、何のしわざやらとて、男かくなむ。

鼻かすみ過ぎゆくけしき磁気浮力

友だち、また、歌えわからざりけり。いづらの言葉にても磁気浮力はわからずなむありければ、みな人飲みにいきてまた酔ひにけり。

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