やうに一年経にければ、男、うつむきて国へかへりにけり。学びを終ふべく、まめに学びのそのへかよへど、物の理ぞすでにいとつれづれ思ひてあきにたる。ぢきに世に出でゐて、歩むべき道はなんぞとて、無職のすべを知りぬる人にたすけをもとめけり。新聞をちぎりて求人情報のところに、「パラサイト」の五文字を句の上にすゑて、男かくよみてやりけり。
ぱらぱらとらせんえがきてさるおちばいかにしょくをやとおのけるかな
返しもなかるべしとて、男、親のもとへ正月を過ぐしにかへりぬ。さる時、思ほえず文をおこされけり。
くものいとはかなしきうんきらるともいくつももちばおちずうくべし
男いとをかしみて、若き子どものごとく嬉しうはしゃぎたりけり。無職のすべを教はるる人なれば、かやうにはしゃぐべし。されど、いかに時が経れど、意味はわからずなむありける。まどひつるあまり、男かくなむ。
くもなどはつかみどころぞなきうわのそらにこころもおちつかぬまま
長く待ちつる返し、
あるばいとはじめたあSあつかれたの
男、さらさらまどひにけり。この人へ二度と文をやらじとて、事もえ言はずにため息つきて、しづかに頭をふりけり。
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